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【2013年12月21日】「宮沢賢治と<再生>のものがたり」郡山開催レポート

◆ 福島会場 「宮沢賢治と<再生>のものがたり」開催レポート ◆


■ 2013年12月21日(土)、福島県郡山市で開催した
 「宮沢賢治と<再生>のものがたり」の模様をお送りします。


「“こころの再生”を通して福島と日本を再生することができたら」
この願いから私たちの活動は始まりました。
この活動を通して、国外も含め、福島と他地域の人たちの新たなネットワークを
作っていきたいと思っています。
こちらの開催趣旨もご覧ください。
「宮沢賢治と再生の物語」開催のご案内

今回は、東京公演からあまり間がありませんでしたが、
「東京と福島がメッセージでつながる」、「心と心がつながりあう」という趣旨に
多くの方々の賛同を得て、福島のみなさんからは「県外でも福島を考えてくれる人
がいる」「福島は、忘れ去られていない」と声をいただきました。

富岡町の仮設住宅にあるコミュニティFM、「おたがいさまFM」では、何度も
イベントをラジオで放送くださいまいた。郡山市のFMココラジでは、ご厚意に
よりラジオ出演し、直接イベントを紹介しました。地元紙の福島民友、福島民報
でも、開催案内の掲載をして、多くの方々に知っていただく機会となりました。
みなさまのご厚意に感謝しております。

当日の会場は「創空間 富や蔵」です。
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明治30年に建てられた酒造りの蔵。震災の影響で、2013年4月に再オープンしました。


開場前にもかかわらず、「楽しみにしてました」と、早めに会場に入るみなさん。
いわき市、会津若松市、福島市、白河市、富岡町、大熊町など、県内全域から
参加されました。
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中は、優しい木と白壁で、温もりある空間です。蔵の歴史と趣に包まれて、
参加者と出演者の思いの結晶が満ち溢れているような雰囲気でした。


当日は、私(鈴木)の友人知人もボランティアで会場運営を手伝ってくれました。
日頃の張りつめた日常から少しでも解放された時間になるように、会場には、
お茶やお菓子、花などを設え、心尽くしの用意で、参加される方を迎えました。
各地からお土産も届き、美味しいものが並びました。

◆ 14:00開演

○最初は、「ふくしま再生プロジェクトの会」のメンバーより、
会場のみなさまへ感謝の気持ちを申し上げました。
そして、ご支援いただいた方々にも御礼を申し上げました。
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メンバーを代表して、田母神から、会の設立の経緯や公演の趣旨、
そして「心のふるさと」福島への思いが伝えられると、
みなさん頷きながら聴いていらっしゃいました。

<おつきゆきえさんによる「宮沢賢治朗読」>

おつきさんは、「福島が大好きです」と開口一番に話しました。
「お客さんがみなさんあたたかい。福島は本当にいいところです。
宮沢賢治さんを読むと、どんなにつらくとも、生きようと思えます。
私たちは、生きるのです。そう賢治さんの作品は話しかけてくれます。」
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演目は、「ドングリと山猫」、「いちょうの実」と「虔十公園林」でした。

おつきゆきえさんの朗読が始まると、一人、また一人と、ハンカチで目を拭う
姿が見られました。おつきさんの東北弁の賢治語りは、福島で暮らす人たちの
知らず知らずのうちに我慢してきたものから、解き放たれる時間を作り出して
いました。今ここが泣ける場所であることを知ると、会場のみなさんは、堰を
切ったように泣いていました。
  
朗読が終わると、おつきさんは、「私がみなさんに励まされました」と会場へ
声をかけました。
帰りの時も「今日の会場はとってもあったかかった」と何度も話していました。

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「今日は、わざわざ来てくれありがとうございました。感動しました。」と、
お礼の言葉と花束がおつきさんへ贈られました。
 
<アンヌ=エリザベット.アルペルンさんの演奏>

フランスから見えたアルペルンさんでしたが、
この日は、福島のみなさんへ日本語であいさつをしたいと、
前から日本語の練習をしていました。
 
「ふくしまのみなさん、今日はここで会えてとてもうれしいです。
心を込めて演奏しますので、最後まで、聴いてください」
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レクイエムとエレジーを演奏。
澄んだギターの音色と清らかな歌声は、天上にも響き渡るようでした。そして、
3.11を経験した私たちの心の氷を、優しくあたたかく春先の日差しのように溶か
してくれました。会場は、優しさに包まれ、みなさん涙がとまらずに聴いていま
した。震災で、離れ離れになってしまった人への思いを馳せている方もいました。

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アルペルンさんの通訳をしてくれた高瀬智子さんも、三線で沖縄民謡を披露。
福島に南国の風を吹き込んでくれました。清々しい声の響きでした。

 

<東京からのメッセージ紹介>

ふくしまのみなさんへ、東京からのメッセージ集をお渡しすると共に、
会場でも、米山さんと鈴木で読み上げました。
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みなさんは、メッセージを直接聞くことで、「福島が他の地域とつながっている」、
「福島のことを考えている人がこんなに多くいる」と、他者の存在のありがたさに
感じ入っていました。  

福島会場でも、参加していただいた方にメッセージをいただきました。
その一部をご紹介します。

・最初から最後まで涙が流れて止まりませんでした。
 私の家は、福島原発から40キロ地点、
 あの時の恐怖を外に出すことができずに、
 この3年近く、いたのかもしれません。
 泣かせていただいてありがとうございました。

・乾いて硬くなった土に腐葉土と水を混ぜ込むと土はフカフカにやわらかく、
 みずみずしく生まれ変わります。
 新しい何かを芽ぶいて力を得た大地になります。
 自分の心が今日は腐葉土と水を得たようにやわらかくて変化してゆくことを感じました。
 自分でも驚きですが、その変化が。元気をいただきました。
 ありがとうございました。

・今日はとってもとってもありがとうございました。
 我が家は除染がこれからです。
 3.11から重い荷物をいただいて、何かこれからどうなるのか、
 不安感がたくさんあります、が、その中で、
 少しでも前に笑顔で進んでいきたいと思います。
 ありがとうございます。

・なんとなく気になっていた「とみや」でもらったチラシでしたが、気にとめて
 おいてよかったです。賢治の短編は全編読んでいましたが、おつきさんの朗読
 を聴き、彼女の感想を通してまた別な感想をもち、また読み直してみようと思
 いました。アルペルンさんのギターと歌の調べに<復活>のエネルギーをもら
 ってまた別な活き方(生き方とは別に)に力づけられました。

公演終了後に、お見送りをしていると、

 「新聞でみて、予約なしで来たんですが、すっごく良かったです。泣きました」
 「私は、津波で5人亡くしています。今日は魂に触れた気がしました。ありがとうございました」

と声をかけてくださいました。

今回のイベントが、少しでも福島の皆さんの心に響いたことをとてもうれしく思うと
同時に、開催まで、多大なるご協力とご支援をいただいたみなさまに感謝の気持ちで
いっぱいになりました。

ご参加いただきましたみなさま、ご協力ご支援いただいたみなさまに、
感謝の意を申し上げます。ありがとうございました。


この日の模様は、後日福島民報にも掲載されました。


【2013年11月30日】「宮沢賢治と<再生>のものがたり」開催レポート


◆「宮沢賢治と<再生>のものがたり」開催レポート ◆

◆2013年11月30日(土)、明治大学(和泉キャンパス)にて開催した
 「宮沢賢治と<再生>のものがたり」の模様をお送りします。

 3.11から2年半が経ち、次第に震災の記憶が薄れようとしています。
 実際に、東北に住んでいる人たちの間でも、どんどん「取り残されていく」、
「忘れ去られようとしている」という声が聞こえてきていました。
 この会の企画したきっかけは、東北や3.11についてみんなで考える会を
持ち、東北の支援につなげていきたい、という思いからでした。


今回の構成は、

第一部「ふくしまの今を語る」
第二部「アンヌ=エリザベット・アルペルンさんによる鎮魂歌」
第三部「おつきゆきえさんの宮沢賢治の朗読」

という三部構成。

このイベントを告知してから、「東日本大震災や東北のことを考えたかった」と
いう多くの反響をいただき、当日は、東京都内からだけでなく、山梨、名古屋、
神戸からと遠方からも参加してくれました。

当日は、会場準備から始まり、プログラムに加筆しながら、直前までリハーサル。
会場内には、福島を感じてほしいという趣旨で、福島の現状をまとめた復興記録
の資料が並び、受付には、福島銘菓「ゆべし」も用意しました。


それでは、「宮沢賢治と再生のものがたり」イベントの様子を
当日のプログラムにそってレポートしていきます。


<14:00開演>

○最初は、発起人である米山拓矢さんが、開催へ至る思いを語りました。
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「来春、東日本大震災から3年を迎えようとしている中で、東京オリンピック
 が決まり、世の中では、震災や東北のことを忘れがちになってきています。
 その中、何か自分にできることはないだろうかと思い、今日ここに3.11に
 ついて思いを共有する場を設けることができて、うれしく思います。
 今回は、東京から東北の福島へ、メッセージを送り、物語を届ける支援を
 したいと思っています。」


【第一部】ふくしまの今を語る
 
○福島県にゆかりのある田母神顯二郎さんから、来場者のみなさまへ感謝の意を
 述べるとともに、日本人の原郷としての東北、福島のへの思いが語られました。

「3.11から2年と8か月あまりが経とうとしています。あの一連の出来事は、
 言葉に表しようがない、まさに沈黙するしかない、そういう本質を持った事件
 でした。何かしたいともいながらも、何もできなかった「情けなさ」と実感し
 てきた年月でもありました。ただ、こうした無力感や沈黙の中でも、自分自身
 のことを含めて、いろんなことを変えていかなければならない、という気持ち
 は常に持っていました。
 今日は、<ほんとうの再生>ということに向かっていくための、このような会
 をみなさんと一緒に開けたことを本当にうれしく思っています。」


○次に、田母神さんからのインタビューを受けながら、福島に住み、震災後、仮設
 住宅訪問などの活動をしてきた鈴木が、福島の今を話しました。
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「避難された方と話すと、まず最初に、原発事故後に避難した様子を語り始めます。
 町でサイレンが鳴り、すぐ帰れるだろうと思って車で避難したけど、二度と帰れな
 かったといいます。それから、避難所での生活、転々とした日々も話します。
 私自身、震災後は、言葉が空っぽになってしまいました。目の前の状況を説明する
 言葉がなくなりました。福島には、今も、行き場のない瓦礫があります。言葉も
 瓦礫になってしまいました。まだ言葉にならない感情が、私たちの内にたくさん
 あります。福島の土も今除染されています。私たちは、それを排除するのではく、
 いいことも、悪いことも、全部引き受けて生きてきた土地なのだろうと思います。」

 会場のみなさんは、真剣に、福島の現状の話に耳を傾けてくださいました。


【第二部】Anne-Elisabeth Halpern  アンヌ=エリザベット.アルペルンさんの歌とギター

 ランス大学でフランス詩を教え、パリの国立音楽院(コンセルヴァトワール)を出た
 音楽家のアルペルンさん。今回の趣旨に賛同し、東北、福島のために歌を捧げたいと
 のことで、当日は、澄み切った歌声で、まさに東北の人だけでなく、私たちに響きわ
 たる歌を演奏してくれました。
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 前半は、永遠に旅立たれた方々に捧げるエレジー。
 後半は、残された私たち、今を生きている方々を励ます曲を演奏されました。
 最後に演奏された曲は、Raymond Jean-Marie 「Kizuna」、この曲は、
 レーモンが、東日本大震災へのレクイエムとして私たち日本人へ、友情の
 証として捧げられた曲でした。
 国境も空間も越えて、人間の根本に響く演奏でした。

 通訳の高瀬智子さんが、アルペルンさんの詞の意味を会場に伝えてくださいました。


【第三部】 おつきゆきえさんによる宮沢賢治の朗読

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 (写真は、朗読後花束をもらったおつきゆきえさんです)

 山形出身のおつきゆきえさん、幼少期しか住んでいないというが、東北弁の
 独特の濁点のあるアクセントや節回しは、まるで東北にいるような感覚にな
 りました。
  
 朗読の合間には、おつきゆきえさんの宮沢賢治に対する強い思いを語ります。
 「生きることの意味を見つからないという人がいるが、私たちは何があって
 もいきていかなばならない」と、会場の全員に語りかけました。


○最後には、出演者、それぞれから本日の御礼と福島への思いが語られました。

 「12月21日には、福島県郡山市でみなさんの思いをしっかり伝えます」


○東京と福島をつなぐものとして、参加した方々から「福島へのメッセージ」をいただきました。
 今日感じたこと、福島への思いなどを、会の終了後に、みなさん熱心に書いてくれました。

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いただいたメッセージの一部をご紹介します。

・東京で何もできないかのような歯がゆさを感じながらも
 少なくとも忘れない、ということだけは自分に課したいと思っています。

・とても素晴らしい会をありがとうございました。
 音楽と言葉の力を強く感じました。
 涙が止まらなかったです。

・言葉にならないでガレキのように置き去りになっていることたち、
 そこでしかつながらない部分も確かにあって、
 今日の哀歌や鮮烈な語り、このイベントそのものが魂の中にある
 ガレキのここと向こうをつなげてくれているような気がしました。
 郡山にも行ってみたい、と思いました。

 
・何も問題が解決しないまま、時間だけが過ぎてゆき、
 私自身も何もできずに、もどかしく思っています。
 けれども、東北のことはいつも考えています。
 今日の会では、亡くなった方々に思いをはせるだけでなく、
 本当の意味での「再生」が、音楽と詩(文学作品)を通して
 共有できたと思います。
 無力ではありますが、いつでも心は思っています。

・何かしたいと思ってもなかなか何もできなくて…
 今日のこういう会に参加できて良かったです。
 東北の、福島の人たちに私たちの負を背負って頂いていると実感しました。
 何かできるかわからないのですが、何かできることがあればと思います。


○今まで言葉にしなかったことをあえて言葉にしてみると、みえてくることがあります。
 東日本大震災は、被災地だけでなく、被災地以外の皆さんにも心の傷となって刻まれ
 ていることがよく分かります。
 福島と福島以外、被災地と被災地以外、そんな境界線はないことがみえてきます。
 多くの境界が生まれつつありますが、それをこえて活動していきたいと私たちも思い
 を新たにいたしました。


○この後、出演者と参加者のみなさんで、懇親会へ移りました。

 その場では、次のような感想がありました。
 ・「東北を考えたいと思っていたけど、なかなか機会がなかった。この場が
   あって良かった」
 ・「まずは、住んでいる人の話を聞くことが、復興の第一歩なのかもしれない」
 ・「自分の無力感ばかり多かったけど、考えることから始めたい」 
 など、遅くまで東北、福島のことを語り続けました。


ご参加いただいたみなさま、ご協力ご支援いただいたみなさま、
本当にありがとうございました。 




プロフィール

事務局 

Author:事務局 
代表 田母神顯二郎
(明治大学文学部教授)

活動内容 (2013年~)
・「仮設住宅訪問活動(チャリティコンサート開催)」(富岡町、大熊町、浪江町など)
・「福島考え巡る1日企画実施(震災語り部と被災地ツアー)」
・「東京と福島を繋ぐ復興イベント開催」(明治大学、豪徳寺開催)
・「福島新発見(福島の知宝の掘り起し)」など

メンバー 8名
事務局 鈴木
所在地 福島県県郡山市

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